Affinity PhotoでRAW現像をする際に、色収差、フリンジ、レンズビネット、切り抜き後のビネットといった用語が出てきて混乱しませんか?
これらの違いをしっかりと理解することで、より高画質な写真に仕上げることができます。
この記事では、Affinity Photoを使って、色収差、フリンジ、レンズビネット、切り抜き後のビネットとは何かや実際の効果を解説しています。
色収差の軽減とは何か?
色収差とは何か?
色収差とは、レンズを通して物体を撮影する際に、光の波長によって焦点がずれてしまい、画像の周辺部が色にじみを起こす現象のことです。
色収差が発生するメカニズム
色収差が発生するメカニズムには次の3つがあります。
- 光の波長の違い: 光は様々な波長(色)の集合体です。
- レンズの屈折率の違い: レンズは、光の波長によって屈折率が異なります。
- 焦点位置のずれ: 波長によって焦点位置が異なるため、画像の周辺部で色がにじんで見えるのです。
色収差の種類
色収差は大きく分けて以下の2種類があります。
- 軸上色収差: 画像の中心から外れるにつれて、色がにじむ現象です。
- 倍率色収差: 画像の大きさ(倍率)が、色によって異なる現象です。
色収差の影響
色収差の影響によって画像の劣化やコントラストの低下が引き起こされます。
- 画像の劣化: 色にじみにより、画像が不鮮明になり、見た目が悪くなります。
- コントラストの低下: 色にじみによって、画像のコントラストが低下し、メリハリのない写真になります。
色収差の対策
- レンズの選び方: 色収差の少ないレンズを選ぶことが重要です。高品質なレンズは、色収差を補正する設計がされています。
- 絞り込む: 絞りを絞ることで、色収差を軽減することができます。
- 画像処理: 撮影後の画像処理で、色収差を補正するソフトウェアを使用することも可能です。
Affinity Photoの色収差の軽減
Affinity PhotoのRAW現像(現像ペルソナ)には「色収差の軽減」というメニューが設定されています。
右側のメニューで「レンズ」を選択し「色収差の軽減」にチェックを入れるだけです。
ただ、チェックの有無でほとんど違いが判らないことの方がほとんどかもしれません。
フリンジ除去
フリンジとは何か?
フリンジとは、写真において、特にコントラストが強い部分(例えば、明るい背景と暗い被写体の境界線など)に現れる、虹色のような色の縁のことです。
この現象は、色収差の一種として捉えられることもあります。
フリンジが発生する原因
- 色収差: レンズの特性上、異なる波長の光が異なる焦点距離を持つため、画像の周辺部で色がにじんで見える現象です。
- 回折: 光が障害物を回り込む際に発生する現象で、特に小さな開口部や鋭いエッジを持つ被写体で顕著に見られます。
- センサーの特性: デジタルカメラのセンサーが光を捉える際に、特定の色に過敏に反応してしまうことがあります。
フリンジの種類
- パープルフリンジ: 紫色の縁が最も一般的で、コントラストが強い部分によく見られます。
- その他の色のフリンジ: 青色や緑色などのフリンジも現れることがあります。
フリンジの影響
- 画質の低下: フリンジは、画像の鮮鋭度を低下させ、見た目を損ねます。
- 被写体のディテールが失われる: 特に細かい部分のディテールが失われがちです。
フリンジの対策
- レンズの選び方: 色収差の少ないレンズを選ぶことが重要です。高品質なレンズは、フリンジを抑える設計がされています。
- 絞り込む: 絞りを絞ることで、回折の影響を軽減し、フリンジを抑制できます。
- 画像処理: 撮影後の画像処理で、フリンジ除去ツールを使用することで、ある程度改善できます。
- 撮影時の工夫: 逆光を避けたり、コントラストが強くなりすぎないように注意するなど、撮影時の工夫も効果的です。
フリンジと色収差の違い
色収差は、レンズ全体に広がる傾向があるのに対し、フリンジはコントラストが強い部分に局所的に現れる点が異なります。しかし、どちらもレンズの特性や光の性質に起因する現象であり、密接な関係があります。
Affinity Photoのフリンジ除去
Affinity Photoのフリンジ除去では、色相、半径、許容量、しきい値を調整することができます。
いいカメラやいいレンズを使っている場合は、そもそもフリンジがほとんどないので、調整しても特に変化はありません。
レンズビネットの除去
レンズビネットとは何か?
レンズビネットとは、写真において、画像の四隅が中心部よりも暗くなってしまう現象のことです。まるで、画像に黒い丸い枠がかかったような見た目をします。
レンズビネットが発生する原因
レンズビネットは、主に以下の原因で発生します。
- レンズの構造
レンズの形状や絞りの位置によって、光が周辺部で遮られてしまい、光量が低下することがあります。特に広角レンズや大口径レンズで顕著に見られます。 - カメラの構造
一眼レフカメラなどでは、ミラーやプリズムが光を遮ることでビネットが発生することがあります。 - レンズフード
レンズフードが光を遮り、ビネットの原因となることがあります。 - フィルター
フィルターの取り付け位置や形状によっては、ビネットが発生することがあります。
レンズビネットの種類
レンズビネットには、大きく分けて以下の2種類があります。
- 光学的なビネット: レンズの構造的な問題によって発生するビネットです。
- 機械的なビネット: レンズフードやフィルターなど、外部要因によって発生するビネットです。
レンズビネットの影響
- 画像の印象
ビネットは、画像に独特の雰囲気を与えることがあります。ポートレート写真などでは、被写体に視線を集中させる効果を狙って、あえてビネット効果を加えることもあります。 - 画質の低下
ビネットによって、画像の周辺部が暗くなるため、画質が低下することがあります。特に、風景写真などでは、周辺部の情報が失われてしまうため、好ましくない場合があります。
レンズビネットの対策
- レンズの選び方: ビネットの発生が少ないレンズを選ぶことが重要です。高品質なレンズは、ビネットを最小限に抑える設計がされています。
- 絞り込む: 絞りを絞ることで、ビネットを軽減することができます。
- レンズフードの調整: レンズフードの取り付け位置や形状を調整することで、ビネットを改善できる場合があります。
- 画像処理: 撮影後の画像処理で、ビネットを補正するソフトウェアを使用することも可能です。
Affinity Photo レンズビネットの除去
Affinity Photoでは、レンズビネットの除去という項目があり、強度をあげることで四隅のみを明るくすることができます。
逆にマイナスにすると四隅を暗くすることができます。
これは意外と変化が見えます。
切り抜き後のビネット
切り抜き後のビネットとは何か?
切り抜き後のビネットとは、写真を切り抜いた後に、意図的に画像の四隅を暗くする処理のことです
レンズの特性によって自然に生じるレンズビネットとは異なり、後から画像編集ソフトで人工的に加える効果です。
なぜ切り抜き後にビネットを加えるのか?
- 写真の雰囲気作り: ビネット効果を加えることで、写真にレトロな雰囲気や、奥行き感が生まれます。特にポートレート写真や風景写真でよく用いられます。
- 被写体への視線誘導: 画像の中心部をより強調し、観る人の視線を自然と被写体へと導く効果があります。
- 余白の処理: 切り抜きによって生じた余白部分を自然に見せることができます。
レンズビネットと切り抜き後のビネットの違い
特徴 | 切り抜き後のビネット | レンズビネット |
---|---|---|
原因 | 人工的な画像処理 | レンズの構造 |
現れる場所 | 切り抜いた部分の周辺 | 画像全体に均一に現れることが多い |
強度 | 自由に調整可能 | レンズによって固定 |
目的 | 写真の雰囲気作り、視線誘導など | レンズの特性 |
Affinity Photoの切り抜き後のビネット
Affinity Photoで切り抜き後のビネットを追加するには、RAW画像を開き「現像ペルソナ」に入ります。
右メニューの「レンズ > 切り抜き後のビネット」を選択します。
設定パラメータには「強度」「スケール」「硬さ」の3つがあります。
強度
- ビネット効果の強さを指します。
- 数値が大きいほど、画像の四隅が暗くなり、ビネット効果が強く現れます。
- 0にすると、ビネット効果はなくなります。
スケール
- ビネットが効く範囲を指します。
- 数値が大きいほど、ビネット効果が画像の広い範囲に影響します。
- 数値が小さいほど、ビネット効果が画像の中心に近い部分に集中します。
硬さ
- ビネットの境界線の滑らかさを指します。
- 硬い設定では、ビネットの境界線がはっきりし、ソフトな設定では、境界線がぼやけます。
- グラデーションの強さや、フェザーの量とも表現されることがあります。
各パラメータが画像に与える影響の例
- 強度を大きくする: レトロな雰囲気、ドラマチックな印象
- スケールを大きくする: 広範囲に暗くし、奥行き感を出す
- 硬さを大きくする: 境界線をはっきりさせ、ビネット効果を強調する
- 硬さを小さくする: 境界線をぼかし、自然な印象にする
例えば、以下のように設定すると、元の画像に比べて四隅を円形に暗くすることができます。
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