V860IIIの使い方(C S Nの違い)TTL,ETTL, M,MULTI,TCM, Zoom, ハイスピードシンクロ,S1,S2, バウンスパネル,バウンスカードとは何か?

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V860IIIはとても高性能でコスパのいいストロボです。

その分たくさんの機能があり、初めて使う人からするとどの設定にすればいいのかよくわからない、、、という状況に陥りかねません。

ここでは、V860IIIの主なモードやTTL,ETTL,M,MULTI,TCM,Zoom, ハイスピードシンクロ,S1,S2,バウンスパネル,バウンスカードなどの専門用語を解説しています。


3つのV860III

V860IIIはカメラのメーカーごとに次の3つのモデルが用意されています。ホットシュー接続時の電気信号のやりとりが異なるので、カメラと連動させるためには対応したモデルを購入することが大切です。

Canon用


SONY用



Nicon用



ホットシューとは何か?




V860IIIの3つの発光モード

V860IIIには3つの発光モードがあります。

V860IIIの3つの発光モード
  1. ETTL(TTL・自動発光)
  2. M(手動発光)
  3. Multi(ストロボ発光)


TTLとは何か?

V860IIIは側面についているボタンで「TTL」と「M」を切り替えることができます。


TTLは「Through The Lens」の略で、カメラの露光状態から最適なフラッシュ出力を自動で設定できる便利なモードです。


ETTLとは何か?

V860IIICの場合、側面のボタンをTTLにするとディスプレイの表示は「ETTL」になります。

ETTLはETTL(Evaluative TTL)の略でTTLの進化版です。

ETTLは撮影前に微小なプリフラッシュを発光し、その反射光を基に露出を決定します。これにより、被写体の距離や反射特性をより正確に測定できます。


ETTLに設定すると下に「TCM」「SYNC」「FEB」という3つのメニューが表示されます。


TCMとは何か?

TCMは「TTL Converted to Manual」の略で、TTL(ETTL)モードで測定した露出適正をマニュアルモードに変化することができます。

左端のボタンをクリックしてTCMを選択すると、現在の設定のままMモードに自動で移ります。


SYNCとは何か?

SYNCとは、フラッシュの発光タイミングをシャッターの動作と同期させる機能です。

ボタンをクリックすることで、ハイスピードシンクロ(HSS)とリアカーテンシンクロ(後幕シンクロ)を切り替えることができます。

モード毎の発光タイミング
  • 通常:シャッターが開く直前(最高シンクロは1/200~1/250)
  • ハイスピードシンクロ:高速シャッターでもフラッシュの使用が可能
  • 第二幕シャッターシンクロ:シャッターが閉じる直前に発光


HSS(ハイスピードシンクロ)

通常、フラッシュはシャッタースピードがカメラの最高シンクロ速度(通常1/200秒または1/250秒)以内でしか使用できません。

HSSを使うと、これを超える高速シャッタースピードでもフラッシュを使用できます。動きの速い被写体を撮影したり、日中の明るい環境で被写界深度を浅くするために有用です。



HSSの使い方
  1. SYNCをクリックして「H」を表示させる。
  2. カメラのシャッタースピードを通常のシンクロ速度以上に設定する。
  3. シャッターを切ると、フラッシュがHSSモードで発光する。


リアカーテンシンクロ(第二幕シャッターシンクロ)

通常、フラッシュはシャッターが開く直前に発光します

リアカーテンシンクロ(後幕シンクロ/第二幕シャッターシンクロ)を使用すると、シャッターが閉じる直前に発光します

これにより、動いている被写体の後にライトトレイルができ、動きの表現が可能になります


第二幕シャッターシンクロの使い方
  1. 「SYNC」ボタンを押して、第二幕シャッターシンクロを有効にします。
  2. シャッターを切ると、シャッターが閉じる直前にフラッシュが発光します。


FEBとは何か?

FEBは「Flash Exposure Bracketing(フラッシュ露出ブラケティング)」の略で、異なるフラッシュ出力で複数の写真を撮影する機能です。

通常は3ショットが撮影され、1つは設定通りの露出、もう1つはアンダー、もう1つはオーバー露出で撮影されます。これにより、後で最適な露出を選ぶことができます。

この機能を活用することで、さまざまな撮影シーンにおいて適切なフラッシュ露出と動きの表現が可能になります。特に、動いている被写体や複雑な照明条件下での撮影において、SYNCとFEBは非常に有用です。

FEBの使い方
  1. ブラケットの幅(露出差)を設定する(例:±0.3、±0.7、±1.0)
  2. シャッターを3回切ると、異なるフラッシュ出力で3枚の写真を撮影する。
  3. 3回撮影後にFEBは自動的に取り消しとなる(C.Fn)。



Mとは何か?

MはManualの略で、手動で発光する強さを設定するモードです。

横のボタンを「M」にするか、MODEボタンで「M」に切り替えます。次に、露光調整


露光調整の「+/-」をクリックすると、ディスプレイの発光の強さが調整できるようになります。あとはダイアルを回して調整します。

1/1が最も強い発光で、1/256が最も弱い発光です。



S1とS2

MモードのメニューにはTCMとSYNCの他に「S1」「S2」があります。

Sは「スレーブ」を表しており、フラッシュが他のフラッシュと同期して発光するためのスレーブモードの設定です。

これらのモードを使用することで、複数のフラッシュユニットを使った撮影がより簡単になります。


S1モードとは何か?

S1モードはマニュアルフラッシュ設定で他のフラッシュの発光に同期して発光します。マスターがマニュアルモードで発光する場合に使用します。

つまり、ストロボの強さはV860IIIで設定したものになります。


S2モードとは何か?

S2モードはTTL設定で他のフラッシュのメイン発光に同期して発光します。


Multiとは何か?(ストロボ発光)

V860IIIの設定は「ETTL」「M」の他に「Multi」があります。

MULTIモードは、複数回のフラッシュを連続して発光するモードです。ストロボ効果を作りたい場合に使用します。

①ストロボの強さ、②発光周波数「Hz」と、③発光時間「Times」を設定します。

そのとき、シャッタースピードと発光周波数、発光時間の関係は以下のようにします。

シャッタースピード = 発光回数 / 発光周波数


Hzと発光出力毎の最大発光回数

ちなみに、発光回数は光の強さと周波数によって変わります。光が強ければ強いほどチャージに時間がかかるため、連続した発光ができなくなります。


Zoomとは何か?

V860IIIにはZoomというボタンがついています。これは、フラッシュの照射角度を調整するもので、レンズの焦点距離に合わせて照射範囲を設定します。

設定は20~200mmの間で設定できます。

なお、ZoomがM(マニュアル)になっているときに、数値を一番小さくすると「A(オート)」に切り替わります。


ストロボの注意点

一番明るさが強い発光(1/1)は快速で30回連続発光すると熱保護機能が働き、10分間の冷却が必要になります。

1/1でなくても、1/2や1/4などの強い光でも連続発光をすると熱保護機能が働くので、強い光の連続発光は注意が必要です。


ワイドパネルとバウンスカード

V860IIIは上部にば「ワイドパネル」と「バウンスカード」を備えています。


バウンスカードとは何か?

バウンスカードは、フラッシュ光を天井や壁に反射させて、柔らかく広がる光を作り出すためのツールです。これにより、被写体に直接フラッシュを当てるときの強い影やハードな光を避けることができます。

バウンスカードの使い方
  1. フラッシュヘッドを上向きに調整します(天井に向ける)。
  2. バウンスカードを引き出します。
  3. フラッシュを発光させると、光の一部がバウンスカードに当たり、前方に反射します。これにより、天井からの反射光と合わせて、被写体に均一で柔らかい光が当たります。


ワイドパネルとは何か?

ワイドパネルは、フラッシュ光をより広く拡散させるためのツールです。

広角レンズを使用している場合や、広範囲に光を均一に当てたい場合に有効です。

ワイドパネルの使い方
  1. フラッシュヘッドを標準の前向きポジションにセットします。
  2. ワイドパネルを引き出して、フラッシュヘッドの前面にセットします。
  3. フラッシュを発光させると、ワイドパネルが光を拡散させ、広範囲に均一な光になります。


マスターとスレーブ

Godox V860IIIの「マスター」と「スレーブ」モードは、複数のフラッシュユニットを使ったワイヤレスライティング設定において重要な機能です。

これらのモードを利用することで、より複雑で創造的なライティングを実現できます。


マスターモード(Master Mode)

マスターモードに設定されたフラッシュユニットは、他のフラッシュユニット(スレーブ)の発光を制御する役割を持ちます。

マスターは、カメラのシャッターボタンを押すと、設定されたスレーブユニットにワイヤレス信号を送り、これらを同期して発光させます。

例えば、次のような状況で使えます。

  • スタジオ撮影: 複数のフラッシュを使って、被写体に対して多方向から照明を当てる場合。
  • ロケーション撮影: 屋外や広いスペースで、離れた位置に配置した複数のフラッシュを一括して制御する場合。


マスターモードの使い方
  1. フラッシュの電源を入れ、マスターモードに設定します。
    • モードボタンを押して「M」または「TTL」を選択し、ワイヤレスアイコンが表示されるまで押し続けます。
    • グループ設定やチャネル設定を行います。
  2. 撮影設定に応じてフラッシュの出力やグループを調整します。


スレーブモード(Slave Mode)

スレーブモードに設定されたフラッシュユニットは、マスターからのワイヤレス信号を受け取り、マスターと同期して発光します

スレーブユニットは、独立して設定されるのではなく、マスターからの指示に従って動作します。

例えば、次のような場合に使用します。

  • 補助光: メインのマスターライトに加えて、リムライトやフィルライトとして使用する場合。
  • リモートライティング: 被写体の周囲に配置して、様々な角度から照明を当てたい場合。

スレーブモードの使い方
  1. スレーブとして使用するGodox V860IIIフラッシュの電源を入れ、スレーブモードに設定します。
    • モードボタンを押して「S1」または「S2」を選択し、ワイヤレスアイコンが表示されるまで押し続けます。
    • マスターと同じチャネルおよびグループに設定します。
  2. マスターからの指示に従って、自動的に発光します。

まとめ

  • マスターモード: カメラに取り付けて他のフラッシュユニットを制御するために使用。スタジオ撮影や複数のフラッシュが必要なシチュエーションで有効。
  • スレーブモード: マスターからの指示を受け取って同期発光するために使用。補助光やリモートライティングが必要な場合に有効。

これらのモードを使い分けることで、より柔軟かつ効果的なライティングが可能になります。

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