カメラやドローンのズーム機能には、大きく分けて「光学ズーム」と「デジタルズーム」の2種類があります。
それぞれに特徴やメリット・デメリットがあるため、使い分けることでより良い写真撮影が可能です。
ここでは、「光学ズーム」と「デジタルズーム」の違いや特徴、メリットとデメリットをまとめています。
デジタルズーム
デジタルズームとは何か?仕組み
デジタルズームは撮影した画像の一部を切り出して拡大する方式です。
一眼レフカメラのようにレンズのリングを回してレンズを伸び縮みさることなく、ディスプレイ上でズームを完結することができます。
ただし、切り出すことで画素数が減り、画像が粗くなったり、ノイズが目立ったりするなど、画質が劣化します。
レンズを動かす必要がないため、撮影中に素早くズーム倍率を変更できます。このため、被写体を大きく見せたい場合や、遠方の被写体を少しだけ大きくしたい場合などに利用できます。
デジタルズームのメリット
デジタルズームを採用することで次のようなメリットがあります。
- 小型化
レンズを複雑にする必要がないため、カメラ本体を小型化できます。 - 低コスト
光学ズームレンズに比べて、製造コストを抑えることができます。 - 高倍率化
ソフトウェア処理で拡大するため、光学ズームでは実現できないような高倍率での撮影も可能です。
デジタルズームのデメリット
デジタルズームのデメリットは次のようなものがあります。
- 画質の劣化が大きい
画像の一部を切り出して拡大するため、画質が粗くなったり、ノイズが増えたり、ギザギザが目立ったりします。 - 有効画素数の減少
デジタルズームを行うと、有効画素数が減少するため、高画質の写真を期待することはできません。
なお、デジタルズームの技術は向上しており、以前よりも画質の劣化が少なくなっています。
デジタルズームの例
デジタルズームのわかりやすい例はドローンです。
ドローンのレンズ部分は伸びたり縮んだりせず、常に一定の長さのものが多いです。
このため、ズームとして備えているのはデジタルズームが一般的です。
例えば、DJI Air3は2つのカメラを備えていて、それぞれにデジタルズームがついています。
広角カメラは3倍までのデジタルズーム、中望遠カメラは9倍までデジタルズームが可能です。
DJI Air3は2つのカメラがついて、1~9倍までのズームができ、360°の全方位センサーがついている超高性能なドローンです。その割に値段が安く、世界中で爆発的な人気を誇るドローンです。
光学ズーム
光学ズームとは何か?仕組み
光学ズームは、レンズ自体が物理的に動き、光を集めることで被写体を拡大する方式です。
一眼レフやミラーレスカメラのズームレンズのリングを回すとレンズが伸び縮みし、倍率を変化させることができます。あれが、光学ズームです。
光学ズームのメリット
光学ズームのメリットはなんといっても画質の良さです。(ただし、一切劣化しないわけではありません)
- 画質の劣化が少ない
レンズ自体が動き、光を集めることで拡大するため、デジタルズームのように画像が粗くなったり、ノイズが増えたりすることが少ないです。 - 高倍率化が可能
レンズの構造によって、非常に高い倍率での撮影が可能です。(レンズによる)
光学ズームのデメリット
光学ズームにも様々なデメリットがあります。
- レンズが大きい
高倍率の光学ズームレンズは、レンズ自体が大きく、カメラ本体も大型化しがちです。 - 価格が高い
高性能な光学ズームレンズは高価なものが多く、コストがかかります。レンズだけで30万円以上するものもざらにあります。 - ズーム速度が遅い
レンズが物理的に動くため、デジタルズームに比べてズーム速度が遅いです。
光学ズームの例
光学ズームといえば一眼レフやミラーレスカメラのズームレンズが代表的です。
例えば、CanonのRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMは、焦点距離100の中望遠から500超望遠までの範囲で光学ズームすることができます。
光学ズームのため、遠くにとまっている鳥なども鮮明な美しい画像で撮影することができます。
CanonのRF100-500mm F4.5-7.1 L IS USMはかなり高性能なレンズで、遠くで静止している被写体はもちろん、鳥や人物、スポーツシーンなど高速に動く被写体もブレることなく撮影できる高性能なレンズです。
まとめ
光学ズームは、高画質な撮影を可能にし、デジタルズームは、光学ズームでは届かない範囲の撮影を補助してより遠い場所を撮影することができます。
一方、光学ズームは高画質ですが、ズーム倍率に限界あります。デジタルズームは安価で手軽に高倍率を実現できますが、画質が劣化します。
どちらのズームを使うべきかは、撮影したい状況や求める画質によって異なります。
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