【動画撮影】fpsとシャッタースピードの最適な値|180度シャッタールールとは何か?(一眼レフ・ミラーレス カメラ、モーションブラー)

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一眼レフやミラーレスカメラで動画を撮影するときに、シーンに合った動画のフレームレート(fps)を設定することは非常に大切です。

ですが、適切なfpsを選ぶことと同じぐらい大切なことに、適切なシャッタースピードを選ぶことがあります。

ここでは、動画撮影のときに最適なシャッタースピードは何かや、fpsとの関係性や180度シャッタールールとは何かについて解説しています。


ご参考

fpsとは何か?やシーンに合った最適なfpsを選ぶ方法については下記をご参考ください。

【動画撮影】FPSと何か?25, 60fpsや30pとの違い|最適なフレームレートの選び方


シャッタースピードは1/(fps x 2)

カメラで動画を撮影するときのシャッタースピードは撮影する動画のフレームレート(fps)の2倍分の1にするのが基本です。

シャッタースピード = 1/(2x[fps])


よく使われる25(または24), 30, 60fpsの場合、シャッタースピードは以下のようになります。


フレームレートとシャッタースピードの関係

[フレームレート] = [シャッタースピード]

  • 25fps = 1/50
  • 30fps = 1/60
  • 60fps = 1/120


なぜ【1/フレームレートの2倍】なのか?

なぜシャッタースピードをフレームレートの2倍分の1にするのかというと以下のような理由があります。


シャッタースピードが速すぎる場合

シャッタースピードが速すぎると、動きがカクカクして不自然な動画になります。

例えば、フレームレートを30fps、シャッタースピードを1/1000のときを考えてみます。

動画は1秒間に30フレーム(画像)を表示します。ところが、そこで表示される画像は1/1000というものすごく高速でとった写真になります。

その写真のなかには動きのブレやぼけがほとんどありません。そうすると前後のフレームで表示されている画像との差が大きくなりカクカクしてしまうわけです。


シャッタースピードが遅すぎる場合

シャッタースピードが遅すぎる場合は、動きのブレやボケが大きくなり、映像がぼやけて不自然になります。

例えば、フレームレートを30fpsにして、シャッタースピードを1/2にすると、シャッタースピードが非常に長いため、カメラのセンサーが1フレームあたり0.5秒間光を取り込みます。これにより、動いている被写体がぼやけ、動きが滑らかに見えなくなります

また、シャッタースピードが長すぎることで、カメラセンサーに多くの光が入り、明るい環境では映像が過度に明るくなり、白飛びする可能性があります。


モーションブラーとは何か?

シャッタースピードを遅くすればするほど、動いている被写体を撮影するときにブレが発生します。

このブレのことをモーションブラーといいます。

写真の場合モーションブラーはない方がいい写真になりますが(意図した長時間露光撮影は別)、動画の場合はある程度のモーションブラーがないと、前後のフレームのつながりが不自然になってしまいます。

このため、例えば25fpsであれば、シャッタースピードを1/50とすることでフレーム同士をつなぐのに自然なモーションブラーになります。


モーションブラーと手振れの違い

モーションブラーと手振れは似ているように感じますが、意味合いが異なります。

どちらも写真や動画においてぼやけた映像を引き起こす原因ですが、カメラ本体の動きが原因なのか、被写体の動きが原因なのかという違いがあります。

モーションブラーと手振れの違い

モーションブラーと手振れは例えば以下のような違いです。

  • 手振れ: 低速シャッタースピードで夜景を手持ち撮影したときに、全体がぼやける。
  • モーションブラー: スポーツ写真で選手が動いている部分だけがぼやける。


手振れ(Camera Shake)

手振れとは、カメラが撮影中に動いてしまうことです。

特に低速シャッタースピードで撮影するときに、カメラが安定せずに動くと手振れが発生し、画像全体がぼやけます。

例えば、以下のような原因で発生します。

手振れの主な原因
  • カメラを持つ手の震え
  • 風や振動
  • シャッターボタンの押し込み
手振れの対策
  • 三脚や一脚を使用してカメラを安定させる。
  • 手ぶれ補正機能(レンズ内やカメラ内)を使用する。
  • シャッタースピードを速くする。


モーションブラー(Motion Blur)

モーションブラーは、被写体が動いているときに発生するぼやけです。

シャッタースピードが遅いときに、被写体が動くことで、カメラのセンサーに動きが連続的に記録され、被写体の動きがぼやけて見えます。

モーションブラーは以下の要因によって起こります。

モーションブラーの主な原因
  • 被写体の動きが速い
  • シャッタースピードが遅い(長時間露光による)
モーションブラーの対策
  • シャッタースピードを速くすることで、動きの速い被写体をシャープに捉える。
  • 被写体の動きを追いかけるパン撮影を行う(ただし、背景がぼやける)



あえて違うシャッタースピードにすることもある

カメラの動画撮影におけるシャッタースピードの基本は 1/(fps x 2)ですが、特定の状況や効果を狙う場合は、このルールを破ることもあります。例えば、以下のような場合があります。

  • スポーツ撮影などで動きをシャープに捉えたい場合(シャッタースピードを速めに設定する)
  • モーションブラーを強調したい場合(シャッタースピードを遅めに設定)


ただし、シャッタースピードを過度に早くしすぎたり、遅くしすぎてはいけません


強いモーションブラーを発生させる|1/fps

強いモーションブラーを発生させたいときは、【1/fps】とします。

強いモーションブラー【1/fps】
  • 25fps = 1/25
  • 30fps = 1/30
  • 60fps = 1/60


動きをシャープにする|1/(fps x 4)

動きをシャープにして、モーションブラーを抑えたい場合は、【1/fps x 4】とします。

動きをシャープにする【1/(fps x 4)】
  • 25fps = 1/100
  • 30fps = 1/120
  • 60fps = 1/240




180度ルールとは何か?

カメラで動画撮影するときにシャッタースピードを 1/(fps x 2) にすることを「180度ルール」と言います


なぜ180度ルールというのか?(名前の由来)

なぜ180度ルールというのかというと、映画撮影用の機械式カメラのシャッターの形状に由来しています。

映画用カメラでは、シャッターは円形で、その一部が遮光されており、回転することで光の入射時間を制御しています。シャッターは通常360度の円盤で、遮光部分がその半分である180度を占めています。

シャッターを180度にすると、シャッターが1回転する間の半分の時間(180度分)光がフィルムまたはセンサーに当たります。つまり、シャッターが開いている時間が全体の1/2になります。

この180度の開口を基準として、シャッタースピードがフレームレートの2倍の逆数に設定されます。

例えば、24fpsの場合、シャッタースピードは1/48秒【1/(2×24)】になります。


360度シャッターと90度シャッター

シャッターで光量を調整し、モーションブラーを強くしたり、弱くする設定方法に、360度シャッターと90度シャッターがあります。

  • 360度シャッター
    シャッタースピードがフレームレートと同じ(例:24fpsなら1/24秒)。非常に強いモーションブラーが発生します。


  • 90度シャッター
    シャッタースピードがフレームレートの4倍の逆数(例:24fpsなら1/96秒)。モーションブラーが少なく、動きがシャープに見えます。

このように、180度ルールは映画や動画撮影において適切なモーションブラーを得るための基本的なガイドラインとして広く使用されています。その名称は、シャッターの物理的な形状と動作に由来しています。

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