一眼レフやミラーレスカメラで撮影するときに特に重要な要素に①シャッタースピード、②絞り(F値)、③ISO、④露出補正があります。
ここでは、その中でも特に重要な絞り(F値)は、f1.4や, f2.8, f4, f11, f22などレンズによって固定されていたり、変化することができたりします。
ここではF値とは何か?やシーン別の最適なF値の設定方法について解説しています。
F値とは何か?
F値(F-number、F-stop)はエフちと呼び、カメラレンズの絞りの開口径を表し、露出を決定する重要な要素の一つです。
F値が小さいほどレンズの開口は大きく、F値が大きいほどレンズの開口は小さくなります。
ネコが黒目の部分をまんまるに大きくしているか、細めてものすごく小さくしているかの違いのようなものです。
F値の計算方法
F値はレンズの焦点距離をレンズの有効開口径で割った値です。
F値 = f/D
- f : レンズの焦点距離・・・Focal lengthの略
- D : レンズの開口径(直径)・・・Diameterの略
F値と開口径の関係
よくF4という値を目にすることが多いかと思います。これは何を意味しているかというと、現在のレンズの焦点距離が開口径の4倍であることを意味しています。
F2.4であれば焦点距離が開口径の2.4倍、F11であれば焦点距離が開口径の11倍ということです。
f2.4の開口径(焦点距離50mmの単焦点レンズの場合)
例えば、焦点距離50mmの単焦点レンズでF値2.4とした場合、開口径はレンズの焦点距離の2.4倍のため、開口径=約20.8mm(50 ÷ f2.4)となります。
f11とf2.4の開口径比較
同じく、焦点距離50mmの単焦点レンズでF値11とした場合、開口径=約4.5mm(50 ÷ f11)となります。
つまり、F値がf2.4からf11に変化すると、約5倍のため、1/5だけ開口径が小さくなるということです。
f22とf11の開口径比較
一般的に設定できる一番大きなF値はF22です。同じく50mmの単焦点レンズでF22の場合、開口径は約2.3mm(50 ÷ f22)となります。
f11と比べてf22は2倍のため、レンズの開口径は1/2の2.3mmになります。
実際に撮影するときに、いちいちレンズの開口径を計算することはないので、F値が大きければ開放状態、F値が小さくなるに従って、倍々の逆で開口径が小さくなることを覚えておくことが重要です。
F値が写真に与える影響
カメラ本体でF値を調整することによって、カメラレンズの絞りを調整していることや、なぜF値が大きいほど開口径が大きく、F値が小さいほどどれだけ開口径が小さくなるか?ということをわかっていただけたと思います。
F値の調整、すなわち開口径を大きくしたり絞ったりすることで写真に与える主な影響は次の3つです。
- 露出の調整(センサーが受け取る光の量)
- 被写界深度の調整(ボケやシャープ感)
- スイートスポットでの撮影
露出(センサーが受け取る光の量)
F値が小さい(例:F1.4, F2.8)ほど、レンズの開口が大きくなり、より多くの光がセンサーに届きます。これにより、暗い環境でも明るい写真を撮ることができます。
反対に、F値が大きい(例:F16, F22)ほど、レンズの開口が小さくなり光の量が減ります。
被写界深度の調整
F値が小さいほど被写界深度(ピントが合って見える範囲)は浅くなり、背景がぼけやすくなります。これは、ポートレート撮影などで被写体を際立たせるためによく使用されます。
逆に、F値が大きいほど被写界深度は深くなり、風景写真などで前景から背景まで鮮明に写すことができます。
スイートスポットでの撮影
レンズには最もシャープ(ボケがなく鮮明)な画像を得られるスイートスポットと呼ばれるF値の範囲があります。
多くの場合、開放値から数段絞った値(例:F8やF11)が該当します。F値を調整することで、画面全体が高画質となるスイートスポットで撮影することができます。
被写界深度は背景ボケした写真や、細部まで鮮明な写真を撮影するために非常に重要な要素です。詳細については下記をご参考ください。
小さいF値のメリット
よくF値は小さいレンズの方がいいということを耳にすることもあるかと思います。例えば、小さいF値だと、F1.4やF2.8があります。
F値の低いレンズは一般的に非常に効果です。F値の低いレンズを使うことで次のような撮影が可能になります。
- 暗いところでも明るく撮れる
- 背景ボケができる
暗いところでも明るく撮れる
F値が小さいほど、レンズの開口径は大きくなるため、同じシャッタースピードで取り込める光の量が大きくなります。
このため、暗いところでも明るく撮影することができます。屋内や夜景の撮影でとても重宝されます。
もし、F値が大きいと写真を明るくするために、シャッタースピードを上げるかISOを上げることになります。
シャッタースピードを上げると手振れしやすくなります。ISOを上げればノイズがのります。この撮影時の好ましくない2つの状況を回避できるのが小さいF値です。
背景ボケができる
F値が小さいほど、ピントが合って見える範囲(被写界深度)が小さくなるため、背景をぼかすことができます。
スマホではなかなか表現しにくい背景ボケボケのオシャレな写真を撮るにはF値の小さいレンズ(F1.4やF2.8)とF値が小さい状態での撮影が必要ということになります。
小さいF値のデメリット
F値が小さいレンズは明るい写真や動画、背景ボケの写真を撮影できるためとても人気がありますが、デメリットもあります。
それは、日中の屋外など明るい場所で背景ボケのある写真を撮影したいときに、F値が小さいと取り込む光量が多くなるため白飛びする可能性も多くなるということです。
なお、この問題はNDフィルターを使うことで問題を解決できます。NDフィルターの詳細については下記をご参考ください。
【完全版】NDフィルターとは何か? いつ使うか?種類,ND2,ND4,ND8,ND16,ND1000の違い
大きいF値のメリット
一眼レフやミラーレスカメラの最大のF値は、通常F22からF32程度です。
F値が大きいと背景ボケしないし、暗くなるし使い道ないんじゃないの?と思うかもしれませんが、決してそういうわけではありません。
写真撮影においてあえてF値の大きいF11や最大のF値であるF22(またはF32)を使うこともあります。例えば次のようなシーンで使います。
- 風景撮影
- 建築撮影
- マクロ撮影
- 長時間露光
風景撮影
前景から背景まで、ファインダーに移る景色の全体を鮮明(シャープ)に写すには大きなF値を使う必要があります。
特に、広大な景色を撮影する際に、細部まで鮮明に描写できます。
建築撮影
建物全体をディティールまで詳細に捉えたい場合も、あえて大きいF値を使います。
F値を大きくすることで、建物の前景と背景を鮮明に捉えることができます。
マクロ撮影
マクロ撮影のように、極めて近い距離で小さな被写体を撮影する場合、被写界深度が非常に浅くなるため、F値を高くして被写界深度を深くすることで、被写体全体をシャープに撮影します。
長時間露光
明るい環境で長時間露光を行う場合、光の量を制御するためにF値を高く設定します。
例えば、昼間に水の流れや雲の動きをスムーズに表現したい場合に使用します。
大きいF値のデメリット
F値を大きくした場合は次のようなデメリットがあります。
回折現象
非常に高いF値(例えばF22以上)を使用すると、回折現象により画質が低下することがあります。
これは、光がレンズの絞りを通過する際に分散し、画像がややソフトになる現象です。そのため、最適なシャープネスを維持するためには、適度なF値を選ぶことが重要です。
光量の減少
高いF値では開口径が小さくなるため、カメラのセンサーに届く光の量が少なくなります。
これにより、適切な光量を確保するために、シャッタースピードを遅くする必要があり、手持ち撮影ではブレやすくなります。(三脚を使うことで回避できます)
fの後ろのスラッシュは何か?
スラッシュありなしで同じ意味
F値を表すときに、F2.8やF11のように後ろにそのまま数値を付ける表記方法の他に、スラッシュを使って、f/2.8やf/11と表記することがあります。
スラッシュ有り無しで意味は同じです。F2.8 = f/2.8です。
わざわざスラッシュを付ける理由は以下になります。
スラッシュの意味
「f」の後ろにスラッシュ(/)を付ける理由は、F値が比率を表すものであることを示すためです。
先に解説したように、F値はレンズの焦点距離(f)を開口径(D)で割った値です。
F値 = f/ D
F値 = 焦点距離 / 開口径
特に「現在レンズがどのぐらい開いているか」が直感的にわかりやすくなります。
開口径(D) = f/F値
F値を「f/2.4」と表記することで、現在の開口径は「現在の焦点距離÷2.4」であることがパッとわかります。
例えば、焦点距離50mmの単焦点レンズであれば、開口径は 20.8mm(≒50/2.4)です。
F1.4, F2.8, F4, F11, F22のシーン別使い分け
F値の中でも代表的なF1.4, F2.8, F4, F11, F22のシーン別の使い分けについてまとめておきます。
f/1.4
シーン: ポートレート、低照度撮影、夜景、室内撮影
- 浅い被写界深度
背景を大きくぼかすことができ、被写体を際立たせるポートレートに最適。 - 低照度に強い:
レンズが多くの光を取り込むため、暗い場所でも明るい写真が撮れる。 - ボケ効果
美しいボケを作り出し、被写体に集中させる。
f/2.8
シーン: ポートレート、風景、スポーツ、イベント
- バランスの取れた被写界深度
背景をぼかしつつも、ある程度のディテールを残せるため、幅広い撮影に適する。 - 低照度性能
依然として多くの光を取り込むため、室内や夕暮れ時の撮影にも適する。 - 速いシャッタースピード
光量が多いため、シャッタースピードを速くすることが可能。スポーツやイベント撮影で被写体の動きを止めやすくなる。
f/4
シーン: 風景、グループポートレート、旅行撮影
- 深い被写界深度
被写体全体がシャープに写りやすく、複数の被写体を含むシーンや風景撮影に適する。 - 適度なボケ
背景のディテールを保ちながら、被写体を際立たせることができる。 - 汎用性
多くのシーンで良好な画質を提供し、旅行や日常の撮影に便利。
f/11
シーン: 風景、建築物、静物写真
- 深い被写界深度
前景から背景まで広範囲をシャープに写せるため、風景や建築物の全体像を撮影するのに適する。 - 詳細な描写
細部まで鮮明に写すことができるため、細部の描写が重要なシーンに適する。 - 回折の影響が少ない
多くのレンズで最もシャープな画像を提供するF値に近いことが多い(スイートスポット)
f/22
シーン: 風景、長時間露光、マクロ撮影
- 最大の被写界深度
可能な限り深い被写界深度を実現することで、前景から背景まで全体をシャープに写す。広大な風景や全体を鮮明にしたい場合に適する。 - 長時間露光
明るい場所でシャッタースピードを遅くする必要がある場合、光の量を制御できる。これにより、動きのある水や雲をスムーズに表現できます。
まとめ
- f/1.4: 浅い被写界深度と低照度性能が必要な場合に最適。
- f/2.8: バランスの取れた被写界深度と光量が必要なシーンに最適。
- f/4: 汎用性が高く、多くの撮影シーンで良好な結果を得られる。
- f/11: 深い被写界深度とシャープな描写が求められる風景や建築物の撮影に最適。
- f/22: 最大の被写界深度や光量制御が必要な場合、特に長時間露光や明るい環境での撮影に最適。
それぞれのF値は、特定の撮影シーンや目的に応じて使い分けることで、最適な写真を撮ることができます。
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