カメラの絞り(F値)に関係が深い言葉に「被写界深度」と「スイートスポット」という言葉があります。
ここでは、被写界深度やスイートスポットとは何か?やF値との関係性についてまとめています。
被写界深度とは何か?
被写界深度(ひしゃかいしんど)とはカメラで撮影する際に、ピントが合って見える範囲のことです。つまり、背景ボケするかどうかを決める要素です。
漢字だけ見るとやたらと難しそうに聞こえますが、意味は簡単ですね。
なお、英語ではDOF(Depth of Field)といいます。
「深い」「浅い」被写界深度
被写界深度は深い⇔浅いと表現します。
被写界深度が「深い」と、前景から背景まで広い範囲が鮮明に写ります。つまり、手前から奥までピントがあってボケがないとうことです。
一方、被写界深度が「浅い」と、ピントが合っている部分だけが鮮明に写り、それ以外の部分はボケます。
被写界深度を決定する主な要因
被写界深度つまり、ピントが当たる範囲が深いか浅いかは主に以下の3つの要素で決まります。
絞り(F値)
F値が小さい:浅い
絞りを開ける(f値を小さくする)と被写界深度は浅くなり、背景がボケます。背景ボケボケの写真を撮りたければf1.4やf2.8のレンズを使います。
F値が大きい:深い
絞りを絞る(f値を大きくする)と被写界深度は深くなり、広い範囲が鮮明に写ります。風景全体や建物の詳細をしっかり撮影したい場合はF値を大きくします。
焦点距離
短い焦点距離(広角レンズ):深い
短い焦点距離(広角レンズ)では被写界深度が深くなり、広い範囲がピントが合います。広い風景を撮影したい場合は焦点距離35mm以下の広角レンズを使います。焦点距離17ぐらいでかなり広角の写真を撮影することができます。
長い焦点距離(望遠レンズ):浅い
長い焦点距離(望遠レンズ)では被写界深度が浅くなり、特定の部分だけが鮮明に写ります。野鳥や飛行機などを撮影するときは80㎜以上の望遠レンズを使います。焦点距離500mmでかなり望遠の写真を撮影することができます。
撮影距離
撮影距離が近い(マクロ):浅い
被写体に近づくと被写界深度が浅くなり、背景がぼけます。
撮影距離が遠い:深い
被写体から離れると被写界深度が深くなり、広い範囲がピントが合います。
背景ボケした写真を撮るには?
被写界深度で背景がボケるかどうかが決まります。
背景ボケするには「F値の低いレンズが重要」という話を耳にすることは多いと思いますが、ボケを決めるのはF値だけではありません。
背景ボケした写真を撮るには、被写界深度(ピントが合う範囲)を浅くします。
仮にF値がf4のように小さくなくても、ズームをしたり、被写体に近づくことで背景ボケした写真を撮影することができます。
細部まで鮮明な写真を撮影するには?
前景と背景の両方をディティールまでしっかり鮮明に撮影した場合は、被写界深度(ピントが合う範囲)を深くします。
シーン別|被写界深度の活用
被写界深度は、写真やビデオ撮影において、クリエイティブな表現を行うための重要な要素です。シーンに合わせて調整する必要があります。
ポートレート撮影(被写界深度:浅い)
被写界深度を浅くして背景をぼかすことで、被写体(人物)を際立たせることができます。これにより、背景の雑音を排除し、被写体に視線を集中させることができます。
風景撮影(被写界深度:深い)
被写界深度を深くして、前景から背景まで全体を鮮明に撮影することで、風景全体を美しく写し出すことができます。
マクロ撮影
小さな被写体を撮影する際、被写界深度は非常に浅くなります。これにより、被写体の特定の部分だけが鮮明に写り、他の部分はぼけます。細かいディテールを強調することができます。
被写界深度を理解し、適切にコントロールすることで、写真や映像における表現の幅が広がり、より魅力的な作品を作り出すことができます。
スイートスポットとは何か?
スイートスポットとは、レンズの光学性能が最も高くなる絞りF値)のことを指します。
この絞り値では、レンズの解像度やコントラストが最大限に引き出され、最もシャープで鮮明な画像がを撮影することができます。
多くのレンズでは、スイートスポットは最大絞りから2〜3段絞った範囲にあります。例えば、最大絞りがf/2.8のレンズなら、スイートスポットはf/5.6〜f/8の間に位置することが多いです。
f/4のレンズなら、f8~f11あたりがスイートスポットになります。
つまり、被写界深度は比較的深いところにスイートスポットがあります。
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