優れた映像を作るためにはシーンにあった撮影を行うことが大切です。そのためには、カメラを使って被写体をどのように撮影するか?が非常に重要になってきます。
カメラを使った撮影技法をカメラワークといいます。カメラワークには様々なものがあり、よく使うカメラワークには名称がつけられ、それぞれによって見ている人に与える印象も異なります。
ここでは動画撮影時に使われる基本的なカメラワークを実例とそれぞれが与える印象などを合わせて紹介しています。
- カメラワークの種類
- フィックス(Fix 固定)
- パン(パンニング Pan Panning)
- チルトアップ (Tilt up)
- チルトダウン(Tilt down)
- ズームイン(Zoom in)
- ズームアウト(Zoom out)
- トラック(Track 追跡)
- ドリー(Dolly)|スライダーショット(Slider shot)
- ドリーイン(Dolly in)
- ドリーアウト(Dolly out)
- サークルショット(Circle shot、スピンショット)
- ダッチアングル(Dutch angle)
- ハイアングル(High angle)
- ローアングル(Low angle)
- フォーカスイン(Focus in)
- フォーカスアウト(Focus out)
- プルフォーカス(Forus pull)
- まとめ
カメラワークの種類
カメラワークには様々なものがあります。よく使われている基本的なものでも次の17種類があります。
それぞれによって与える印象が異なります。
フィックス(Fix 固定)
フィックスとはカメラの位置を固定して被写体を撮る撮影方法です。
カメラは動かさず、撮影している人が動きます。
見ている人に安定感、静止画像、信頼性といった印象を与えます。
パン(パンニング Pan Panning)
パン(パンニング)とはカメラ固定して横に振りながら撮影する方法です。通常、左から右への動きをパンと呼びます。このため、右から左への動きを逆パンと呼んだりもします。
動きや視野の拡大、スムーズさといった印象を与えます。
チルトアップ (Tilt up)
チルトアップ (Tilt up)とはカメラを下から上に動かして撮影することです。チルト(tilt)とは傾けるという意味です。
地面からだんだん空へ、足元から顔へなどといった撮影に技法です。
見ている人に希望や高揚感、視点の上昇といった印象を与えます。
チルトダウン(Tilt down)
チルトダウン(Tilt down)は上から下に撮影する方法です。建物を上から下に撮影したり、風景から人へ撮影するときに使います。
見ている人に緊張感、重厚さ、視点の下降といった印象を与えます。
ズームイン(Zoom in)
ズームインはカメラレンズをズームして被写体をだんだん近づけて撮影する方法です。
見ている人をグーっと引き付けるときに有効な撮影方法です。
見ている人に集中、親密さ、詳細の拡大といった印象を与えます。
ズームアウト(Zoom out)
カメラのレンズを使って被写体を遠ざける撮影技法です。被写体が画面内で小さくなります。
新しいシーンに切り替わるときなどに効果的です。
見ている人に、広がりや遠近感、全体像をとらえるといった印象を与えます。
トラック(Track 追跡)
トラックとは被写体を追いかけながら撮影する方法です。
日常的なワンシーンを撮影するときに効果的です。
被写体の目線での撮影や臨場感、接近感といった印象を与えることができます。
ドリー(Dolly)|スライダーショット(Slider shot)
ドリー(Dolly)とはカメラそのものを前進または後退させながら被写体に近づいたり、遠ざかったりする撮影方法のことです。
パンとドリーの違いは、パンはカメラが固定されているのに対し、ドリーはカメラが動くという点です。
ドリーの場合カメラやカメラマンを台車などに乗せて一定の速度で動かします。
見ている人に移動の流れや臨場感を与えることができます。
ドリーイン(Dolly in)
ドリーイン(Dolly in)とはカメラそのものを前進させて被写体に近づけていく撮影方法のことです。
迫力を出したり、被写体に接近する映像を撮るときに使います。
ドリーアウト(Dolly out)
ドリーアウト(Dolly out)とはカメラそのものを後退させて被写体から遠ざけて撮影する方法です。
距離感の広がりや背景の後退といった印象を与えます。
サークルショット(Circle shot、スピンショット)
サークルショット(Circle shot)は被写体を中心としてカメラ自体が360度回りながら撮影する方法です。
スピンショット(Spinning shot)と呼ばれることもあります。
全体像をとらえる撮影や驚きなどの印象を与えることができます。
ダッチアングル(Dutch angle)
ダッチアングル(Dutch angle)とはカメラを斜めに傾けながら撮影する方法です。あえて水平にせず不安定なように見せながら撮影するのがポイントです。
不安定や緊張感、混乱、斬新さを表現するのに使われます。
ハイアングル(High angle)
ハイアングル(High angle)は上から下を撮影する撮影方法のことです。
上からの目線は強者が弱いものを見下ろす目線を表しており、無力、弱さ、支配、被写体の小ささといった印象を与えます。
ローアングル(Low angle)
ローアングル(Low angle)とは下から上を撮影する撮影方法です。
下からの目線は弱者が強いものを見上げる視線で、力強さ、威圧感、大きい被写体といった印象を与えます。
フォーカスイン(Focus in)
フォーカスイン(Focus in)とはカメラレンズをつかって、被写体がボケた状態からだんだん焦点を合わせていく撮影方法です。
シーンが変わってこれからストーリーが始まるといったときに効果的です。
注目、鮮明さ、近さの強調といった印象を与えることができます。
フォーカスアウト(Focus out)
フォーカスアウト(Focus out)はカメラレンズを使って、被写体にピントが合った状態からだんだん焦点が外れてボケていく撮影方法です。
次のシーンに移るために現在のシーンを終了させたり、回想シーンに入るときに効果的です。
曖昧さ、遠さ、距離感の拡散といった印象を与えることができます。
プルフォーカス(Forus pull)
プルフォーカス(Forus pull)は被写体の焦点を意図的に変えることで、映像効果を生み出す手法です。
被写体Aに焦点が合っている状態から、被写体Bに焦点を合わせ変える撮影技術です。
メッセージの強調や、視聴者の注目を誘導することができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか?さすがに17個もあるとかなり多いと感じます。
ですが、私たちが普段目にしているニュースや映画などでも頻繁に使われているものも多く、実は生活に馴染みが深いものが多いのも事実です。
一番重要なポイントはカメラワークによって見ている人に与える印象が違うということです。企画や構成の上で自分が視聴者に与えたい印象を明確にし、それにあったカメラワークを使うことが大切です。
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