写真の編集をしているときに、「特定の色だけを調整したい」「写真の色味をもっと自分らしくしたい」「色彩に関する知識を深めたい」という思いを持っている方もいるかと思います。
Affinity Photoを使えば、写真の特定の色をピンポイントで調整し、思い通りの色合いに仕上げることができます。
この記事では、「HSLシフト調整」を使って、あなたのイメージ通りの写真に仕上げるための具体的な手順とテクニックを解説します。
- 写真の表現力がアップ!
- 特定の色を自由に調整
- プロのような写真加工を体験
この記事を読めば、あなたも今日から、写真の色彩を自在に操り、オリジナリティあふれる作品を作り出すことができます!
2つのカラー調整方法「特定色域」「HSLカラー調整」
Affinity Photoで特定のカラーのみを編集する主な方法に「特定色域の調整」と「HSLカラー調整」があります。
両方とも色個別に変化させることができるという点は同じですが、適用範囲が異なります。
特定色域の調整は、ピンポイントで色を調整するのに適しています。一方、HSLシフト調整は、画像全体の雰囲気を調整するのに適しています。
ここでは、「HSLシフト調整」に絞って解説します。
HSLシフト調整とは何か?
HSLシフト調整とは、画像の色を、色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Lightness)の3つの要素を個別に調整することで、より細かく、そして直感的に変化させることができる画像編集のテクニックです。
HSLとは何か?
HSLとは色相(Hue)、彩度(Saturation)、明度(Lightness)の頭文字です。色の調整をするうえでとても重要な要素になります。
色相(Hue)
色の基調となる色味のことです。
赤、青、緑など、私たちが一般的に認識している色の名前がこれに当たります。
彩度(Saturation)
色の鮮やかさ、つまり色の純粋さの度合いを表します。
彩度が高いほど色は鮮やかになり、彩度が低いほど灰色に近づきます。
明度(Lightness)
色の明るさ、つまり黒から白までの明るさの度合いを表します。
明度が高いほど白に近づき、明度が低いほど黒に近づきます。
HSLシフト調整のメリット
- 直感的な操作
色相、彩度、明度の3つの要素をスライドバーなどで調整するため、直感的に色味を変化させることができます。 - 細やかな調整
各要素を細かく調整することで、微妙な色合いの変化を表現できます。 - 特定の色への影響
特定の色相の範囲に対してのみ調整を行うことで、その色だけを強調したり、抑えたりすることができます。
HSLシフト調整の活用例
- 写真の雰囲気を変える
暖色系の色相を強調することで暖かみのある雰囲気に、寒色系の色相を強調することで涼しげな雰囲気にするなど、写真の雰囲気を大きく変えることができます。 - 色のバランスを整える
色が全体的に偏っている場合、HSLシフト調整でバランスを整えることができます。 - 被写体を際立たせる
背景の色を調整することで、被写体をより際立たせることができます。
HSLシフトの調整方法
Affinity PhotoでHSLシフト調整をするには、「ctrl + u」をクリックします。
または、上部メニューの「レイヤー > 新規調整レイヤー > HSL」を選択します。
レイヤーパネルに「HSLシフト調整」が追加されます。これで非破壊で色を変更することができます。
また、HSLパネルが表示されます。
調整できる色域
HSLシフト調整では次の7つの色域を選択して、HSLを調整することができます。
次の画像をデフォルトとして、それぞれの効果を紹介します。
全体(水彩画と白黒写真)
全体の色域を調整したいときは、一番手前を選択します。
全体の調整は影響度が大きいです。
例えば、彩度を100%にすると水彩画のようになります。
彩度を0%にすると白黒写真になります。
輝度を100%にすると白飛びします。
輝度を-100%にすると黒潰れします。
過度に変更しすぎないことが大切です。
赤い色域
赤を選択すると、写真の中で赤い部分だけを調整することができます。
↓ 右端の赤(オレンジ)の車の色が最も強く変化します
赤い車の色だけが黄色になりました。
少ない色は影響度が少ない
写真の中に対象の色が少ない場合、スライダーを変化させてもほとんど変化しません。
例えば、例の写真の中にマゼンタはほとんど存在しないので、色相や彩度をかなり上げてもほぼ変わりません。
HSVモード
HSLシフト調整パネルの中に「HSV」というチェックボックスがあります。
HSVにチェックを入れると、モードをHSLからHSVに切り替えることができます。
HSVとは何か?(HSLとの違い)
HSLとHSVは、どちらも画像の色を表現する際に用いられる色空間です。
HSVは色相(Hue)、彩度(Saturation)、値(Value)の頭文字です。
HSLもHSVも同じように色相(Hue)、彩度(Saturation)という要素を持ちますが、明るさの表現方法に違いがあります。
- HSL(色相・彩度・明度)
- 明度:黒から白までの明るさを表します。
- 特徴:直感的で、多くの画像編集ソフトで採用されています。
- HSV(色相・彩度・値)
- 値(Value):黒から色相の最も明るい点までの明るさを表します。
- 特徴:色の3原色を基にしたモデルで、色をより直感的に操作したい場合に適しています。
主な違いは、明度の最大値がどこにあるかです。HSLでは白が最も明るい値ですが、HSVでは各色相の最も明るい点が最大値となります。
HSVを使うメリット
HSVにすることで、輝度をより細かく調整することができます。
HSLとHSVの輝度100%の状態を比較すると、HSVの方がより細かく調整できることがわかります。
HSV
HSL
このため明るさ調整もより自然にできます。
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