ドローンを購入したら「即外で飛ばす!」というわけにはいきません。特に100g以上のドローンは航空法の規定でフライト前にやるべきことが色々と定められています。
知らず知らずのうちに法律違反していた…ということがないように、ドローンを外で飛ばすまでに一通りの準備をすることが大切です。
ここでは、ドローンを外で飛ばすまでにするべき準備について手順を追ってまとめています。
フライトまでの手順
ドローンを外で飛ばすまでの手順を簡単にまとめると以下のようになります。
ここでは「機体の登録」と「特定飛行の許可・承認申請」、また包括申請と個別申請の違いについてまとめています。
機体の登録
100g以上のドローンを購入したらまず飛行前にやるべきことは「機体の登録」です。航空法で100g以上のドローンなどの無人航空機の登録が義務となっています。
申請はオンラインのDIPS(ドローン情報基盤システム2.0)で行うことができます。紙での申請も可能ですが、申請手数料が高くなります。
機体登録の申請費用
申請手数料はオンラインの場合は900~1,450円、紙の場合は2,400円です。
登録記号とリモートID
登録する場合には機体の「登録記号」と「リモートID」が必須となります。
登録記号とは、ドローン本体に貼られている「JU」から始まる記号のことです。リモートIDとは、無人航空機の識別情報を電波で遠隔発信する機能のことです。
識別情報には登録記号、位置、速度、高度などの情報が含まれます。これにより、飛行中でも無人航空機の情報の確認が可能になります。
機体を登録しないで飛ばした場合のペナルティ
特定飛行の許可・承認申請
航空法では「飛ばすエリア」と「飛ばし方」でドローンの飛行が原則禁止になる条件があります。これらの条件下でドローンを飛ばしたい場合は、事前に国土交通省の「飛行許可」や「承認申請」を得る必要があります。
飛行禁止空域(「飛ばすエリア」に対する規制)
航空法で定められている「飛行するエリア」の対象を「飛行禁止区域」と呼び、次の4つのエリアが該当します。
これらのエリアは、航空機(飛行機など他の機体)の安全に影響を及ぼすおそれのある空域や、落下した場合に地上の人などに危害を及ぼすおそれが高い空域です。
承認申請(「飛行の方法」に対する規制)
航空法で定められている規制は、「飛ばすエリア(飛行禁止空域)」以外に、「飛行の方法」があります。
ドローンを飛ばしていい「飛行可能区域」、あるいは、飛行禁止区域で「許可申請」をした場合でも次のような状況で飛ばす場合は「承認申請」が必要になります。
山や海を越えていく空撮動画の撮影や、家屋や屋根の点検、PV撮影などで人の周りを撮影するものなど、仕事で撮影するものの多くが「承認申請」に該当します。
図で表すと以下のようになります。
前提条件(原則禁止の飛ばし方)
そもそも上記のような場所は原則飛行禁止です。仕事などどうしても撮影が必要な場合に国土交通省に申請をして、承認が下りればドローンを飛ばすことができるようになります。
航空法のそれぞれの規定の詳細については下記をご参照ください。
許可や承認なしで飛ばすとどうなる?
航空法に抵触するエリアや飛ばし方でドローンを飛行させる場合、国土交通省の許可や承認がない状態で飛ばすと、法律違反となり50万円以下の罰金が科されます。
申請方法(個別申請と包括申請の違い)
飛行許可承認申請には「個別申請」と「包括申請」の2種類があります。以下で、個別申請と包括申請の違いについても解説しています。
個別申請
通常は1回のフライト毎に「飛行日時」や「飛行場所住所」「関係機関との調整」などのフライト情報を毎回申請をしなければいけません。これを「個別申請」と呼びます。
趣味でドローンを飛ばす場合でも飛行禁止区域や承認申請が必要な飛ばし方をする場合は毎回行う場合があります。
包括申請
飛行許可や承認申請は審査が完了するまでに10日(開庁日)ほどかかります。このため、業務でドローンを使っている場合は急な依頼等に対応できません。
そういった問題を一挙に解決できる申請方法があります。それが「包括申請(ほうかつしんせい)」です。
「包括申請」を使うと、許可や承認が下りてから3ヶ月~1年間の間、飛行経路を特定せずに申請することができます。申請するエリアは「日本全国」や「○○県」など大雑把でよくなります。
申請の手間も個別申請と変わらず、包括申請ができるなら包括申請が圧倒的にお勧めです。
包括申請の注意点
ただし、大変便利な申請方法ですが注意点があります。まず第一に、包括申請ができるのは業務のみで、趣味で飛ばす場合に包括申請はできません。
また、空港等周辺における飛行など、飛行の経路を特定することが必須となっている場合は業務でも個別申請が必要となります。
イベント会場上空など、飛行の経路及び日時を特定する必要がある飛行も個別申請が必要となります。
申請に必要な期間
国土交通省に許可や承認申請をすればドローンをすぐに飛ばせるというわけではありません。
10日ほどかかる場合があります。このため、飛行開始予定日の10開庁日前(土日祝日を除く)までに余裕をもって実施する必要があります。
なお、申請書に不備がある場合、審査に多くの時間を要し、飛行希望日までに許可が下りない可能性があります。このため、10日以上前からあらかじめフライト情報がわかっている場合は、10日よりもっと前に余裕をもって申請する方が安全です。
申請書を提出する際は、「飛行日時」「飛行場所住所」「関係機関との調整」等必要事項が記載されているかを確認しましょう。
どこから申請するの?
飛行許可と承認申請はオンライン上のドローン情報基盤システム2.0(DIPS)から実施することができます。
申請代行を依頼するときの注意点
承認申請や許可申請の代行を依頼するときは、行政書士に依頼する必要があります。
なぜなら、行政書士以外の者が、業として報酬を得て官公署に提出する書類を作成した場合、行政書士法違反となるためです。
基本的には自分で申請するのが一番いいです。
また、申請実績があるからといって、知り合いから「お金をもらって代わりに申請するよ」というのも行政書士法違反になるため注意が必要です。
許可・承認申請の注意点
ドローン情報基盤システム2.0(DIPS)の許可・承認申請には注意点があります。それは、この申請はあくまで「航空法」の許可・承認申請だということです。
その他の「各種法令」「条例」等の許可・承認申請ではないため、飛行させようとしている内容が他の法律や条例などに抵触しそうな場合は、確認と許可の取得が必要になります。
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