ドローンを購入したら「即外で飛ばす!」というわけにはいきません。特に100g以上のドローンは航空法の規定でフライト前にやるべきことが色々と定められています。
知らず知らずのうちに法律違反していた…ということがないように、ドローンを外で飛ばすまでに一通りの準備をすることが大切です。
ここでは、ドローンを外で飛ばすまでにするべき準備について手順を追ってまとめています。
フライトまでの手順
ドローンを外で飛ばすまでの手順を簡単にまとめると以下のようになります。
ここでは、「飛行前点検」や「気圧情報の確認」についてまとめています。
飛行前点検の必要性
点検なんてめんどくさい。ドローンを手にしたらすぐに外で飛ばしたいと思う人もいるかと思います。
ですが、ドローンなどの無人航空機の飛行に関しては「飛行前の確認(点検)」をすることが航空法で絶対的に義務付けられています。
具体的には、以下の4つは絶対的に守らなければいけません。これらを守らないと違法行為となり、罰金が科せられることになります。
飛行前点検項目
ドローンなどの小型無人航空機を飛行する前に点検する項目は以下になります。
飛行中に事故などが発生すると、機体が損傷するだけでなく、損害倍書責任や国土交通省への報告義務が発生するため、事前にしかりっとチェックしておくことが大切です。
なお、登録記号とは、ドローン本体に貼られている「JU」から始まる記号のことです。
リモートIDとは、無人航空機の識別情報を電波で遠隔発信する機能のことです。識別情報には登録記号、位置、速度、高度などの情報が含まれます。これにより、飛行中でも無人航空機の情報の確認が可能になります。
飛行後の点検項目
飛行前の点検は法律で義務付けられていますが、飛行後の点検項目は任意です。ですが、確認しておく方が無難です。
飛行後の点検項目は次のようになっています。
20時間毎の点検
飛行前点検、飛行後点検のほかに20時間毎の点検も推奨されています。
気象状況とドローン
風速
ドローンなどの小型無人航空機は「風速5m/s以上の状態では飛行させない」こと決められています。
これは、5m/s以上の風速では風に流されてしまい操縦が難しくなるためです。突発的に5m/sを超える場合の飛行も禁止されています。
山や海、ビルの間などでは強い風が発生しやすく、ドローンが突如変な動きをし下手すれば墜落する可能性もあるため注意が必要です。
雨・雪
ドローンは精密機械で、発熱を防止するため風通しがいいように設計されています。このため、雨や雪などの水で故障するリスクがあります。
ドローンメーカーの中でも有名なDJIのマニュアルにも、雨天・強風・降雪などの悪天候での飛行はしないようにとの注意書きがあります。
風や、雨、雪に弱いドローンを安全に飛ばすためには、気象情報を正確に把握することが大切です。
気圧情報の確認
天気図
ドローンは風の影響を受けやすいため、安全に飛ばすためには気象情報が大切な一つの情報源となります。
天気予報などを見ていると「高」「低」と書かれた天気図が出てきます。この図をみることで風向きや風の強さを把握することができます。
等圧線
気象図の中の黒い線(等圧線)は風の強さを表しています。間隔が狭ければ狭いほど風は強くなります。
例えば上の図の台風25号のまわりは等圧線が何重にもなっています。これはかなり強い強風が吹き荒れていることを示しています。
高気圧と低気圧
「高」と「低」と書いてあるのはそれぞれ「高気圧」と「低気圧」を表しています。
高気圧の場合は下降気流が発生します。風の向きは下向きの右ねじの法則で時計回りになります。雲ができにくく天気がいいのが特徴です。
低気圧の場合は上昇気流が発生します。風の向きは上向きの右ねじの法則で反時計回りになります。雲ができやすく、雨や曇りになりやすいのが特徴です。
天気の悪い低気圧を象徴するのが台風です。台風は別名「熱帯低気圧」と呼ばれ、かなり気圧の低い気象状態で発生します。
危険な風
山間部や海の岩肌沿いなど、人が容易に入れないような場所でもドローンは飛んでいくことができます。
そういった場所で撮影された動画はとてもオシャレで、ドローンを飛ばす人なら一度は撮影したいと思うものです。
ところが、そういった地形は通常の風の流れとは違う吹き方をする場合があります。知らずにドローンが巻き込まれると最悪の場合は墜落することもあります。
ドローンを飛ばすにあたって、地形が引き起こす強風について理解しておくことは安全にドローンを飛ばすために大切です。
山谷風
内陸部や山間部、盆地や谷、山沿いの平野など「山と谷」がある場所で吹く風に「山谷風(やまたにかぜ)」があります。
山谷風は昼は谷から山へと上昇する風が吹きます。山の斜面が暖められることで、谷の温かい空気が山を登ります。この風を谷から吹いてくる風ということで谷風と呼びます。
逆に、夜は山から谷へと下降する風が吹きます。山の斜面が冷やされることで、山の冷たい空気が谷に向かって流れていきます。この風を山から吹き下ろす風ということで山風と呼びます。
通常の風速は2~3m/sとそこまで強くはありませんが、他の風と合わさると5m/sを超すこともあるので注意が必要です。
海陸風
海と陸が重なり合う海岸沿いでは「海陸風(かいりくふう)」という風が吹きます。海の水の温まりやすさと陸の温まりやすさが異なるため温度差が生まれ、そこから気圧差が生じることで発生する風です。
昼は海から陸へ風が吹き、この風を海風(かいふう、うみかぜ)と呼びます。陸地側に強い上昇気流が発生します。
夜は陸から海へと風が吹き、この風を陸風(りくふう、りくかぜ)と呼びます。陸地側に緩やかな下降気流が発生します。
なお、一日のうちに朝と夕方にそれぞれ陸風と海風が切り替わるタイミングがあり無風となります。この一時的な無風状態を凪(なぎ)と呼びます。
昼間の海風の方が風速が早く、海風の風速は4~7m/s、夜の陸風の風速は2~3m/s程度です。
ビル風
都心部などの高層ビルではビル風という強風が吹きます。
これはビルの正面や側面に当たった風が、回り込んで他の風と合流するために発生する強風です。高層であればあるほどビル風は強くなります。
ダウンバースト
積雲や積乱雲などの下では超強力な下降気流が発生することがあります。この下降気流が地面にぶつかると風速50m/sを超える突風を引き起こすこともあります。
ダウンバーストによる飛行機の墜落事故も発生しているほどです。特に失速速度に近い速度で飛ぶ、機体姿勢の不安定な着陸時に強い下降流によって地面に機体が押され墜落に至ります。
ダウンバーストなど強力な風が吹いている場合はドローンの飛行は禁止です。ただちに飛行を停止する必要があります。
便利アイテム 風速計
ドローンを飛ばす際に「風速計」があると現在の風の強さをm/sで瞬時に測定することができるため大変便利です。
価格も2,000~3,000円程度とお手頃です。2,000円程度で評価の高いおすすめの風速計のリンクを貼っておきます。
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