ドローンの注目度は年々高まっています。新たにドローン市場に参入を検討している企業や、個人の人たちは少なくありません。
ドローンは新しい市場であり、それに合わせて国の法整備が後からついてきている状態です。近年ではドローンの国家資格制度が導入されたり、飛行するためには申請が必要な場所や飛ばし方があったりと、色々な条件が出てきています。
ここでは、そもそもドローンの市場は今後伸びていく可能性があるのか?や、国家資格はどういう種類があり、どういったときに必要なのか?どういった飛ばし方やエリアでドローンを飛ばす場合に申請が必要になるのか?といった、ドローンの将来性と法律関連についてまとめています。
ドローンの将来性
ドローンの将来性として、ドローンの市場規模やどういった市場が伸びていくのかというその内訳についてまとめています。
ドローン業界全体の市場規模
ドローン業界の将来性は非常に高いと予測されています。
インプレス総合研究所の2022年の調査結果によると日本国内のドローン市場規模は、
・2020年市場規模:1,841億円(37%増)
・2021年市場規模:2,308億円(25%増)
・2022年市場規模:3,086億円(34%増)
・2023年市場規模:3,828億円(24%増)
・2025年市場規模:5,803億円(51%増)
となり、毎年成長していく成長産業とされています。
例えば、2024年度で見ると、点検や農薬散布、物流、空撮といったサービス市場が最も多く、2,642億円。
次いで、ドローン本体(機体)市場が、1,227億円。周辺サービス市場が884億円となっています。
ちなみに、同じような研究は毎年行われており、インプレス総合研究所が2020年に行った調査では、ドローンの市場規模は1,753億円となっていました。
それが、2023年には3,828億円となっているため、過去の予測よりも市場の伸びは大きくなっていることがわかります。
海外では日本の約1000倍の市場規模があります。
市場規模の内訳
ドローン業界で最も市場規模が大きいサービスには、主に6つの業種があります。
最も市場規模が大きくなると予想されているのが「物流」です。ドローンを使って自宅の前に直接荷物を配送するといった業務内容です。
次いで、大きい市場規模が「防犯」です。今まで守衛さんや防犯カメラがやっていた仕事をドローンが担い、より広範囲をより早く、より確実に確認することが可能になります。
「農業」では農薬散布、その他「点検」や「土木・建築」では測量や指定ヵ所の確認、山や屋根など人が容易に入れない場所で使用されます。
ドローンの国家資格化
ドローンは新しく出てきた市場で法整備が進んでいませんでした。
それが、2021年3月9日に、「航空法改正案」が閣議決定され、その中で、ドローンの免許制度が開始することが決まりました。これにより2022年度から、ドローン操縦に関する国家資格ができたました。
ドローン操縦の国家資格化の背景は、市場規模が拡大する中で、ドローンパイロットに求められる安全性や法律といった技術や知識が求められるようになったためです。
ドローンの国家資格を取得するには、勉強も必要ですし、ドローンを操作する技術も必要です。お金も必要です。
一見すると、マイナスなように見えますが、参入するハードルが高くなった分、きちんと勉強し、資格を取得すれば、それだけドローンパイロットとしての市場価値は上がります。
ちなみに、法律上ではドローンのことを「小型無人機」と呼びます。資格のことを「無人航空機操縦者技能証明等」と呼びます。形式ばっていて堅苦しいですね、、
ドローン国家資格の概要
ドローン国家資格は難易度の高い1等と、低い2等の2つがあります。
それぞれの国家資格の正式名称は「一等無人航空機操縦士」と「二等無人航空機操縦士」ですが、堅苦しいので、ここでは「1等」「2等」と呼びます。
政府が運営している無人航空機レベル4飛行ポータルサイトというものがあり、そこで資格取得の詳細を確認することができます。
それぞれの資格でなにができるのか?を知るためには、レベル1~4とは何かを知る必要があります。
飛行レベルとは何か?
ドローン(無人飛行機)を飛ばすには、①オペレーターが操縦するか事前プログラミングや自動モードなどで自動操縦するか、②山などの人が住んでいない場所か住宅地か、③目で見える範囲内で飛ばすのか見えない範囲で飛ばすのかといった条件により飛行の難易度が変わります。
この飛行の難易度を国土交通省がレベル1~4としてまとめています。
図で表すと以下のようになります。
2等(二等無人航空機操縦士)
国家資格の2等(二等無人航空機操縦士)を取得すると、レベル1~3までの飛行が可能になります。
1等(一等無人航空機操縦士)
国家資格の1等(一等無人航空機操縦士)を取得すると、すべてのレベル(1~4)の飛行が可能になります。
国家資格取得の注意点
国家資格は一度取得してしまえばそれでOKというわけではありません。
更新期間が3年間と決まっています。つまり、3年毎に更新しなければいけません。
また、16歳未満は取得できないといった年齢制限も存在します。
UAS Level2って何?(UAS レベル2)
国家資格に関連して出てくる用語に「UAS Level2(UAS レベル2)」というものがあります。これは、株式会社ドローンネットが発行するスカイファイトというサービスの資格です。
「UAS Level2」とは、国土交通省が認定する講習団体が発行できる資格です。いわゆる民間団体のスクールを卒業するともらえる資格のことです。
この資格には「10時間以上の飛行」と「最低限の技能・ドローン運用の必要知識や法関連の知識」を習得を習得したという内容が含まれます。
たかが民間資格でしょ?と思うかもしれませんが、この「UAS Level2」を取得することには大きなメリットがあります。
メリット1(国家試験 実地試験免除)
国家資格取得時に実地試験が免除されることです。これは大きいです。
メリット2(申請の簡略化)
ドローンを飛ばす際には、飛ばす場所や飛ばし方によって「飛行許可申請」や「承認申請」といった申請が必要になります。
その際、「UAS Level2(UAS レベル2)」の証明書を添付書類として提出すると、本来踏まなければいけない手順を簡略化することができます。
UAS Level2の注意点 ~無料ではない~
UAS Level2は維持するために月額がかかります。
月額980円、年払いだと11,760円がかかります。だいたい月千円なので、年間で1万2千円かかるということです。
ただ、資格維持のためにただただお金がかかるというわけではなく、スカイファイトのUAS Level2では、1事故あたり1億円(自己負担1万円)の保険がついています。
例えば、年間契約の場合、以下のような契約書が発行されます。
ドローンを飛ばすのは危険を伴うため、それなりのお金もかかるというわけです。
その他の民間資格
UAS level2という民間資格以外にも、次のような民間資格があります。
それぞれ試験内容や取得費用が異なります。
自分にぴったりのところを探すのがいいかと思います。
飛行許可申請と承認申請
総重量100g以上のドローンは「航空法」の対象となります。
航空法では、ドローンや飛行機などを安全に飛ばすための法律が定められています。その中に、ドローンを飛ばしてはいけないエリア(飛行禁止区域)があります。
この飛行禁止区域でドローンを飛ばすためには、「飛行許可申請」が必要になります。以下でそれぞれの詳細を記載します。
飛行許可申請とは何か?
ドローンは飛ばしていい区域が法律によって決められています。次の4か所は「飛行禁止区域」と呼ばれ、原則飛行禁止です。
この4つの飛行禁止空域でドローンを飛行させるためには、「飛行許可申請」というものが必要になります。
許可申請には様々な要件があります。例えば、人とぶつかったときに損害や損傷を最小限にするためプロペラガードを設置する、バッテリーが切れる前に自動で帰ってくる自動帰還機能を備えているといった要件です。
飛行禁止区域以外はドローンを飛ばしてもいいエリアになっています。ただし、好き勝手にドローンを飛ばしていいわけではなく、ドローンを飛ばす状況によっては「承認申請」というものが必要になります。
承認申請とは何か?
ドローンを飛ばしていい「飛行可能区域」、あるいは、飛行禁止区域で「許可申請」をした場合でも次のような状況で飛ばす場合は「承認申請」が必要になります。
図で表すと以下のようになります。
山や海を越えていく空撮動画の撮影や、家屋や屋根の点検、PV撮影などで人の周りを撮影するものなど、仕事で撮影するものの多くが「承認申請」に該当します。
該当する場合は忘れずに申請しましょう。
申請方法(「飛行許可申請」と「承認申請」、DIPS)
「飛行許可申請」と「承認申請」はDIPS(ドローン情報基盤システム)という国土交通省のWEBページで申請することができます。
具体的な申請手順は以下のようになります。
なお、国土交通省管理団体資格「UAS Level2(UAS レベル2)」を所持している場合、証明書を添付資料として提出することで、申請を簡略化することができます。
100g未満のドローンならどこでも飛ばしていい?
100g未満のドローンは航空法の対象外となります。対象外ならどこでも飛ばしていいのか?というと決してそうではありません。
「航空法」が適用されないだけで、その他の法令は適用される可能性があるため確認が必要です。例えば、肖像権の侵害、迷惑防止条例への抵触などがあります。
最後に
ドローン市場はこれからどんどん拡大が見込まれる成長産業です。早いうちから準備をしておくことにこしたことはありません。
同時にまったく新しい産業のため、これから法整備が新たに進んでいくことも予想されます。
すでに、ドローンに関して定められた法律があるので、法律に違反することなく正しく守って、ドローンライフを楽しみましょう。
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