写真の魅力は、光の使い方が決め手となるといっても過言ではありません。
光に関して「順光」「逆光」「半逆光」「サイド光」「サイド光(側光)」といった言葉を聞いたことはありますか?実は、これらの光の当たり方一つで、写真の印象は大きく変わるのです。
この記事では、物撮りに特化し、「順光」「半順光」「半逆光」「サイド光(側光)」「逆光」といった光の向きごとの特徴や、それぞれがどのように写真の表現に影響を与えるのかを解説します。
これから写真撮影を始める方や、さらなる表現の幅を広げたい方は必見です。
「順光」「半順光」「半逆光」「サイド光(側光)」「逆光」とは何か?
光は当たる方向で、次の5つの要素に分けることができます。
順光とは何か? ~物撮りの重要ポイント~
順光とは何か?
順光とは、被写体の正面から光が当たる状態のことです。
全体が明るく、色が鮮やかに再現されるため、商品の魅力をストレートに伝えることができます。
しかし、立体感がやや乏しく、平面的になってしまうことがあります。このため、デフォルトとして順光のライトを設置し、立体感を出すために追加のライトを設置することが一般的です。
順光のメリット
- 被写体が明るく、自然な色で写る。
- 影が少なく、柔らかな印象を与える。
- 初心者でも扱いやすく、失敗が少ない。
順光のデメリット
- 立体感が少なく、平面的になりやすい。
- 表情がぼやけてしまうことがある。
半順光とは何か?
半順光とは何か?
半順光は斜め前から光が当たる状態のことです。
順光よりも立体感が生まれ、陰影がつきやすいため、被写体の形状をより際立たせることができます。
半順光のメリット
- 順光よりも立体感が生まれ、被写体の形状が際立つ。
- 自然な陰影がつき、表情が豊かに見える。
半順光のデメリット
- 光の当たり具合によっては、影が強く出てしまい、表情が硬く見えてしまうことがある。
半逆光とは何か? ~物撮りの重要ポイント~
半逆光は斜め後ろから光が当たる状態のことです。
被写体に輪郭が生まれ、神秘的な雰囲気を出すことができます。シルエットを強調したり、背景をぼかしたりすることで、アート性の高い作品に仕上げることができます。
半逆光のメリット
- 被写体に輪郭が生まれ、神秘的な雰囲気を出すことができる。
- 背景をぼかして、被写体を際立たせることができる。
半逆光のデメリット
- 露出の調整が難しく、被写体が暗くなりがち。
- フレアが発生しやすい。
サイド光(側光)とは何か?
サイド光(側光)は横から光が当たる状態のことです。
立体感が最も強調され、ドラマチックな印象を与えます。
サイド光(側光)のメリット
- 立体感が強く、ドラマチックな印象を与える。
- 被写体の質感が際立つ。
サイド光(側光)のデメリット
- 影が強く出てしまい、表情が硬く見えてしまうことがある。
逆光とは何か?
逆光とは、被写体の後ろから光が当たる状態を指します。つまり、カメラのレンズが光源の方向、またはそれに近い方向に向けられている状態です。
被写体に輪郭が生まれ、神秘的な雰囲気を出すことができます。シルエットを強調したり、背景をぼかしたりすることで、アート性の高い作品に仕上げることができます。
逆光のメリット
- 被写体に輪郭が生まれ、シルエットが美しく表現できる。
- 背景をぼかして、幻想的な雰囲気を出すことができる。
斜光(サイド光)のデメリット
- 露出の調整が最も難しく、被写体が黒く潰れてしまうことがある。
- フレアが発生しやすい。
物撮りのポイント
「順光」と「半逆光」
物撮りのポイントは「順光」と「半逆光」です。
この2つが揃うことで、シズル感が生まれより美しく、美味しそうに見せることができます。
また、順光は光が強すぎることがあるため、ディフューザーやソフトボックスを使って柔らかくしてあげたり、後ろの壁などにあててバウンスしてあげるとより自然なライティングになります。
物撮りの注意点1:シーリングライト(電気)は消す
物撮りをする際は部屋の天井についているシーリングライトは消した方がいいです。
シーリングライトがついていると、半逆光などの光が弱まりライティングの効果が薄れてしまいます。
物撮りの注意点2:レフ板を使う
高さがある料理などの場合、陰影がつきすぎてしまうことがあります。そんなときはレフ板を使って光の当たる位置を調整する必要があります。
また、照明が強かったり、拡散度合いが大きいと、被写体以外の机や床などを照らしてしまう場合があります。被写体以外の場所が光っていると視線がそちらに行ってしまうため、被写体以外に当たる光はレフ板などで遮ることも大切です。
シズル感とは何か?
ライティングを使った撮影でよく耳にする言葉の一つに「シズル感」というものがあります。
シズル感とは何か?
「シズル感」とは、主に食品や料理の写真や動画において、見ている人に食欲をそそったり、購買意欲を掻き立てたりするような、生々しさや美味しそうな雰囲気のことです。
シズル感の由来
シズル感は日本語のように感じますが、実は英語の「sizzle」という単語に由来しています。
sizzleは、肉を焼いたときなどに聞こえる「ジュージュー」という音を表す擬音語です。つまり、シズル感は、まるで食材が目の前で焼かれているような、五感を刺激するような視覚的な表現を指します。
シズル感の要素
シズル感を出すためにはライティングも重要ですが、ライティング以外にも重要な要素があります。
- 水滴: 冷たい飲み物に付いた水滴や、食材から出た汁などは、みずみずしさを表現し、食欲をそそります。
- 蒸気: 熱々の料理から立ち上る蒸気は、料理の温度感を表現し、食欲を刺激します。
- 光: 食材の質感や色合いを美しく表現するために、光の使い方も重要です。
- 構図: 食材の配置や背景との関係性も、シズル感を出す上で重要な要素です。
- 動き: 料理の調理過程や、食材を切る様子などを動画で表現することで、よりダイナミックなシズル感を演出できます。
シズル感の重要性
シズル感は、特に食品業界において、商品の魅力を伝える上で非常に重要な要素です。
例えば、食品の広告やメニュー写真、料理本の画像など、様々な場面でシズル感が活用されています。シズル感のある写真を見た人は、実際にその料理を食べているような感覚になり、購買意欲が刺激されるのです。
シズル感を出すためのコツ
- 高画質で撮影する
食材の細かな部分まで表現するためには、高画質のカメラを使用することが大切です。 - 適切な照明を使う
光の向きや強さを調整することで、食材の質感や色合いを美しく表現できます。 - 新鮮な食材を使う
食材の鮮度が、シズル感を左右する大きな要素です。 - 背景をシンプルにする
食材に目がいくように、背景はシンプルにしましょう。 - 複数のアングルで撮影する
同じ食材でも、撮影角度を変えることで、違った印象を与えることができます。
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