RAW現像において、色空間の選択は、最終的な画像のクオリティを大きく左右する重要な要素です。
色空間にはsRGB、ROMM RGB、ws/wsc RGB、Color Match RGB、Adobe RGB、Apple RGBなど、様々な色空間が存在しますが、それぞれが持つ特徴や用途は異なります。
この記事では、色空間とは何か?という基本的の部分や、色空間ごとの違いを深掘りし、カラーマネジメントの基礎知識を解説しています。
色空間とは何か?
色空間とは、色を数値で表現し、その範囲を規定した空間のことです。
異なる色空間は、それぞれ異なる範囲の色を表現することができます。
なぜ色空間があるのか?
そもそもなぜ色空間といいう定義があるのでしょうか?
私たちが普段目にしている色は、無数に存在します。しかし、コンピューターや印刷機など、色を扱うデバイスは、限られた範囲の色しか表現できません。
この表現できる色の範囲を「色域」と呼び、色域を規定したのが色空間です。
色空間の種類によって、表現できる色の範囲や特性が異なります。例えば、sRGBは一般的なディスプレイでよく使われる色空間ですが、Adobe RGBはより広い範囲の色を表現できるプロフェッショナル向けのものです。
色空間と色域の違い
色空間と色域の定義
「色空間」と「色域」は合わせて使われることが多い言葉です。似たような意味合いを持ちますが定義は異なります。
色空間とは、色を数値で表現し、その範囲を規定した空間のことです。例えば、sRGB、Adobe RGB、ROMM RGBなどがあります。
色域とは、ある色空間が表現できる色の範囲のことです。例えば、sRGBの色域は、Adobe RGBの色域よりも狭いというように使います。
色空間と色域の関係性
色空間は、色の表現方法のルールのようなものです。色域は、そのルールで表現できる色の広さ、つまり色のバリエーションの多さを表します。
地図に例えると、世界地図、日本地図などの大きな区分が「色空間」です。それぞれの地図は異なる範囲を表現しています。
各地図がカバーしている範囲(国、地域など)が色域です。
同じ日本地図でも、都道府県までしか表記がないものと、市区町村まで記載してあるもの、更に、道路情報や店舗情報など細かい情報が記載してあるもので全く異なります。
つまり、色域が広ければ広いほどよりたくさんの情報量となります。
sRGBとROMM RGB, ws/wsc RGB, Color Match RGB, Adobe RGB, Apple RGBの違い
色空間は、sRGB、ROMM RGB、ws RGB、wsc RGB、 Color Match RGB、 Adobe RGB、 Apple RGBなど様々あります。
それぞれによって表現できる色域や用途が異なります。
sRGB
- 特徴: インターネットや一般的なディスプレイに最適化された、最も一般的な色空間。
- 違い: 色域は比較的狭いが、幅広いデバイスで正確な色を表示できる。
- 用途: Webデザイン、一般的な画像表示、デジタルカメラの標準設定など。
ROMM RGB
- 特徴: 印刷業界でよく使用される色空間。sRGBよりも広い色域を持つ。
- 違い: 印刷物の色を正確に再現するために設計されている。
- 用途: 印刷物のデザイン、印刷前の校正など。
ROMMは、Reference Output Medium Metricの略で、日本語に直訳すると「基準となる出力媒体の測定」という意味になります。
ws/wsc RGB
- 特徴: 特定のワークフローやデバイスに合わせたカスタム色空間。
- 違い: 標準化された色空間ではなく、特定の用途に特化して作られている。
- 用途: 特定の印刷機やモニターに合わせて調整されたワークフローなど。
Color Match RGB
- 特徴: 特定のデバイスや出力媒体に合わせて調整された色空間。
- 違い: 色を正確にマッチングさせるために使用される。
- 用途: 異なるデバイス間での色の一致を図る場合など。
Adobe RGB
- 特徴: プロフェッショナル向けの広色域色空間。sRGBよりも広い色域を持ち、特に緑から青にかけての色の表現に優れている。
- 違い: 高品質な画像編集や印刷に適している。
- 用途: 写真編集、高品質な印刷物、デジタルカメラのRAW画像など。
Apple RGB
- 特徴: Apple製品で主に使用される色空間。Adobe RGBと似ていますが、やや異なる色域を持つ。
- 違い: Apple製品で作業する際に便利な色空間。
- 用途: Appleのディスプレイやソフトウェアでの画像編集など。
どれを使うべき?(ROMM RGBがオススメ)
汎用的な用途では「sRGB」を使うことが一般的です。多くのデザインソフトでデフォルトの色空間として設定されています。
よりプロフェッショナルな画像に仕上げたい場合は「ROMM RGB」を使います。
ROMM RGBは雑誌、書籍、ポスターなどの印刷物のデザインに利用することで、より鮮やかで正確な色表現を実現できます。
印刷前にROMM RGBで校正することで、実際の印刷物と色味が近い仕上がりを確認できます。
写真やイラストなどの高品質な画像を出力する場合にも、ROMM RGBにすることでより高品質にすることができます。
Affinity Photoで色空間を指定する方法
Affinity Photoで色空間を指定するには、RAW画像を開き「現像ペルソナ」に入ります。
右側のメニューの一番下に「プロファイル > 出力プロファイル」から色空間を選択します。
様々な色空間が用意されています。
RROMM RGBにすると、より濃い色を収納できるようになるため、ヒストグラムが左に移動します。
↓ ROMM RGB(sRGBから変更)
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