近年新しく登場したドローンに対して年々法律が整備され様々な規制が生まれています。また、もともとあった法律でもドローンを飛ばす際には注意しなければいけないものもあります。
ここでは、ドローンを飛ばす際に関係してくる法律についてまとめています。
ドローンに関連する主な法律
ドローンはどこでどのように飛ばすかによって、関連する法律が大きく変わります。その中でも関連しそうな法律をまとめると次のようになります。
ここでは「道路交通法」「河川法」「海岸法・港則法・海上交通安全法」「重要文化財保護法」「電波法」「民法」「条例」についてドローンに関連する部分を簡単にまとめています。
「航空法」と「小型無人機等飛行禁止法」については下記をご参考ください。
なお、法律は時とともに改定や追加されていくため参考情報とし、最新情報は政府や行政のWEBページにてご確認ください。
道路交通法
道路交通法では直接ドローンなどの小型無人機を規制する法律はありません。ただし、道路交通法第76条や77条で以下のように規定されています。
このため、ドローンを道路で離着陸させることや、練習用のパッドなどを道路に置くことは道路交通法違反になります。
また、道路上を道路からの高さ4.1m以下で飛行する場合も同じく道路交通法違反となります。なお、4.1mというのは、道路法で車両の高さの最高限度が4.1mまでと決められているためです。
道路上でドローンを飛ばしたい場合は、「道路占有許可」や「道路使用許可」を取得する必要があります。
河川法
今のところ、河川法においてドローンなどの無人航空機の使用を直接規制する法律は存在せず、自由使用の原則が認められています。
しかし、河川の適正な利用を妨げる行為は禁止されており、ドローンの飛行がそれに該当すると判断される場合があります。
他にも、一部の河川は水面も含めてDID地区(人口集中地区)とされています。これは航空法で規定されている部分ですが、河川でドローンを飛ばす場合には注意が必要です。
河川には民間の方が所有している場所があり、離着陸時に河川敷などを利用する場合はその土地の使用許可を求められるケースもあります。
ドローンを飛ばす場合は河川事務所や河川の管理者に事前に相談しましょう。
ちなみに河川とは、基本的に堤防と堤防の間に挟まれた区域のことを指します。
海岸法・港則法・海上交通安全法
今のところ、海岸においてドローンなどの無人航空機の使用を直接規制する法律は存在せず、自由使用の原則が認められています。
海岸沿いでドローンを飛ばす場合は、国からの許可は必要ありませんが、所有者や管理者の同意は必要になるので忘れずに確認が必要です。
海上でドローンを飛行させる場合は港則法や海上交通安全法が関連してきます。こちらも直接的にドローンを規制する法律はありませんが、船舶の運航に支障を及ぼす恐れがある場合は抵触する可能性があります。その場合、港長や海上保安庁への届け出が必要となるため、事前に確認しておくことが必要です。
重要文化財保護法
重要文化財保護法でドローンなどの無人航空機の使用を直接規制する法律はしていません。
ただし、神社や仏閣などの重要文化財や観光地においては、航空法などその他の法律で以下の行為が禁止されています。
電波法
無線局としての登録
ドローン本体はWi-FiやBluetoothを装備しており、これが、空中線電力が1W以下で、特定の用途に使用される一定の技術基準が定められた無線局に該当します。
これらの技術を使用するにあたって特別な資格は必要ありませんが、ドローン本体や送信機に「技術基準適合証明等」、いわゆる「技適マーク」が必要となります。
微弱無線局
農薬散布のラジコンヘリなどで用いられる電波のうち、「発射する電波が極めて微弱な無線設備」に関しては、「微弱無線適合マーク」(ELPマーク)が適用されているものもあります。
2.4GHz帯
ドローンはGNSS(位置情報)やWi-Fi、Bluetoothなど様々な電波を送受信しています。
ドローンで使用されている多くの電波は2.4GHz帯で、Wi-FiやBluetoothなど一般的な電化製品にも多く使われている周波数帯です。
2.4GHz帯は利用制限がなく、資格がなくとも使えます。
5.7、5.8GHz帯
産業用ドローンとレース用のドローンの中には、それぞれ5.7GHz帯や5.8GHz帯の電波が使われているものもあります。
これらの周波数帯は2.4GHz帯よりも安定しており、送信できるデータ量も膨大です。
これらの周波数帯のドローンを使用するためには、資格が必要になります。ホビー・レジャーや仕事で使う場合で必要な資格が異なります。
5.8GHz帯のレース用ドローンホビー・レジャー用として使用する場合は、アマチュア無線免許4級以上の資格が必要です。
5.7GHz帯の産業用ドローンを使用するためには、第三級陸上特殊無線技術士以上の資格が必要です。
民法
今のところ、民法においてドローンなどの無人航空機の使用を直接規制する法律は存在しません。
しかし、民法207条に「土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」と規定されています。つまり、土地の上空も含めて所有権は土地の所有者が持っているということです。
民法と航空法は全くの別物です。このため、航空法で飛行禁止区域の許可や、目視外飛行の許可申請をとっていたとしても、他人の土地の上空でドローンを飛ばすことはできません。
他人の土地の上空でドローンを飛ばすには、その土地の所有権を持つ人の許可が必要になります。
予定する飛行ルートが他人の土地の上空を通過する場合には、事前に許可を取るようにし、許可が取れない場合は飛行ルートを見直すなど別途検討が必要になります。
個人情報保護法・肖像権・プライバシー権
ドローンを使うと簡単に高画質の動画や画像を撮影することができます。
ドローンによる撮影映像等をネット上にアップした場合、映像等にプライバシーや肖像権などの権利を侵害する情報が含まれていたときは、インターネットによる情報の拡散により、権利を侵害された者への影響が極めて大きく、当該映像等は人格権に基づく「送信を防止する措置」及び損害賠償請求の対象となります。
公道や公共の場などで撮影した動画や画像に人が映り込むことはよくあります。そういった場合、複数の裁判例によれば、公共の場において普通の服装・態度でいる人間の姿を撮影・公開することは受忍限度内として肖像権侵害には該当しないことがほとんどです。
ただし、承諾なく、住居の塀の外側から撮影者が背伸びをした姿勢で、居宅の一室であるダイニングキッチン内の被撮影者の姿態を写した場合などは受忍限度を超えているとされます。
(参考)総務省 「ドローン」による撮影映像等のインターネット上での取扱いに係るガイドライン(案)
条例
国が法律で規定していない場合でも、県や市区町村が条例としてドローンの飛行規制を行っている場合も多数あります。
多くの公園では「危険な行為の禁止」や「他人の迷惑になる恐れのある行為の禁止」などがうたわれており、ドローンを公園で飛ばすと、これらの条例に違反する可能性があります。
例えば、長野県の都市公園条例では「都市公園において小型無人機(ドローン等)の飛行は原則禁止」とされています。
ドローンを公園などで飛ばす場合には事前に管理団体に確認する必要があります。
コメント